ミュージカル『マイ・フェア・レディ』初日公演観劇レポート その④
ヒギンズを見つめるイライザの瞳にキュン
アスコット競馬場での出来事からはや6週間。いよいよ大使館の舞踏会でイライザが本格的に社交界デビューを果たす時がやって来ました。そわそわ心配で落ち着かないピッカリング大佐と余裕しゃくしゃくなヒギンズ教授。二人とも態度は違うけれどイライザを大切に思っているんだなぁということが感じられます。
鼻持ちならない態度が我慢ならないとピッカリングに指摘されるヒギンズですが、これまでイライザにしてきたこと全てに対して「彼女を大切に思わないで出来るか?」という穏やかな口調から、イライザへの想いを確かに感じます。それがいかに特別な思いかということについては、ヒギンズはまだ気が付いていないようだけれど。
ヒギンズ邸の二階から、悠然と階段を降りてくるまぁ様イライザ。真っ白のエンパイアドレス、パールがあしらわれたティアラがとてもよく似合っておられます。素敵…!。神々しいまでのオーラを放っておられたまぁ様。まるで王宮の舞踏会に現れたシンデレラのよう。王子様がシンデレラに一目で恋に落ちたように、私も一目でまぁ様にハートを射抜かれました。
ピッカリングの心からの「美しい…!」という称賛に恭しく微笑み「ありがとうございます、ピッカリング大佐」と答えるイライザ。どこから見てもプリンセスです。ヒギンズはというとイライザの隣にやって来て一言、「悪くない」。まったくもう、素直じゃないんだから。それでもヒギンズの「完璧だ」という言葉に嬉しそうに微笑むまぁ様イライザ。
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」いよいよ公演開始!会見の様子、朝夏/寺脇組による公開ゲネプロの様子もご紹介! | コンフェティ
白いドレスの上から羽織る赤いロングコート姿も最高にゴージャスです。まさに「どちらの女優さん?」という感じ。アスコット競馬場の時は自信満々で元気溌剌だったイライザも、さすがに今夜は緊張の面持ち。大きな瞳が不安げに揺れていましたが、ヒギンズが腕を差し出すのを見て、ほんっとうに嬉しそうに笑うのです…かわいい!!!。可愛すぎて涙が出そうです。
ヒギンズを見つめる瞳が恋する乙女のようでキュン…♡。あんなに麗しくて可愛らしい女性を前にして、抱きしめてしまわないヒギンズの理解に苦しむ(笑)。
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」いよいよ公演開始!会見の様子、朝夏/寺脇組による公開ゲネプロの様子もご紹介! | コンフェティ
そっとヒギンズの腕に手をおくイライザ。二人は寄り添って大使館の舞踏会に出掛けて行きます。寺脇ヒギンズとまぁ様イライザの後ろ姿がまるで映画のよう。イライザにとってこの瞬間が一番幸せだったんだろうなぁ。
なんてチャーミング!光り輝くまぁ様イライザの美しさ
二幕は大使館の場面からスタート。一足先に広間に到着したピッカリングが、ヒギンズのお母さんと話し込んでいます。美しいイライザの評判は上々。「あの美しいお嬢さんはどなた?って、何度も訊かれたわ」と嬉しそうなヘンリーママ。すっかりイライザの大ファンですね。
満を持してイライザが登場すると、広間は感嘆のため息に包まれます。舞台上だけではなく、客席も。まぁ様の美しさは群を抜いて光り輝いていました。見た目の美しさもさることながら、内側から輝くオーラに心奪われます。
トランシルバニアの女王が登場するところでは、その他の淑女の皆様と並んでお辞儀するまぁ様でしたが、明らかに一人だけ発しているオーラが違う!。女王が目を止めるのもわかります。女王に傍へ寄るよう言われたまぁ様イライザが、女王を見上げる純粋無垢な瞳。心の奥底から「なんてチャーミング!」と叫びたいくらいです。
その後の舞踏会のダンスシーンも素敵でした。ロンググローブに包まれた白くて細い腕がひらひらして綺麗。ドレス捌きはさすが元タカラジェンヌといったところでしょうか…細部に渡って美しいの一言に尽きます。
誇らしげなヒギンズと嬉しそうに踊るイライザ。イライザが心から幸せそうに踊っているのが伝わってきて胸が熱くなります。ヒギンズも嬉しそうだし楽しそう!。高く伸ばされたまぁ様の腕。そっと優しく包むように、まぁ様の手を取って踊りだす寺脇さん。うーん、寺まぁコンビ、いいよなぁ♡
舞踏会にはイライザの正体を暴こうとする嫌味な学者先生が来ていましたが、彼からも「ハンガリー王家のプリンセスだ!」と太鼓判を押されるほど、完璧に美しいイライザ。舞踏会で起こったことをヒギンズから聞いていたピアス夫人が大喜びしているのが新鮮。普段はクールな夫人も、すっかりイライザのことが大好きになってしまったのですね。みんなに愛されているイライザ♡。
大きな瞳から零れ落ちる涙に貰い泣き…
舞踏会で大成功をおさめた後のヒギンズ邸の場面。達成感に溢れているヒギンズとピッカリング。口々に祝福を述べるピアス夫人以下ヒギンズ家の使用人たち。
最初こそ嬉しそうにヒギンズを見つめていたものの、少しもこちらを振り向いてくれないヒギンズにだんだんと表情を曇らせていくイライザ。ですがヒギンズはおろか誰も彼女に気が付きません。決定的なセリフがヒギンズの「やれやれ、やっと終わった」の一言。この一言がイライザの心を酷く傷つけます。イライザはただ、ヒギンズに自分を見て欲しかっただけなのに。
二人っきりになってもイライザに目もくれず、呑気にスリッパを探しているヒギンズ。もー、バカバカバカ。突然スリッパを投げつけ、掴みかかって来るイライザにヒギンズ教授はただただビックリ。「何があったんだ?」「僕がいじめたとでも?」とイライザに尋ねますが、そういうことじゃないんだってば!!!。
平気で他の人との結婚をイライザに勧める神経も全くわかりません!。でもきっとヒギンズはまだこの時にはイライザへの想いに気が付いていなかったんだろうなぁ、しょうがないかなぁ…とも思います。
「もう死にたい」とソファに顔をうずめるイライザの辛い叫びや、「私のことなんてどうでもいいのね」と、大きな瞳からポロポロと涙を零すところ、投げ捨てられたヒギンズからの贈り物の指輪を拾って、胸に抱きながら泣いているイライザの姿には、見ているこちらも切なくなってしまいます。
イライザが歌う「みてろ、シギンズ」は一幕の時のそれとは全然違って、涙ながらに歌っているのが可哀想でたまりません。あんなに可愛いイライザちゃんを泣かせるなんて私が許さないーーー!!!。ムキ―!!!(>_<)。そうしてイライザは一人、ヒギンズの元から去ってしまうのでした。
フレディ視点でイライザを見つめてしまう
ヒギンズ邸を後にするイライザ。この時のお衣裳はピンクのセットアップにお花と水色のリボンがついたボンネット、というもの。パフスリーブになったお袖やレースの手袋、キラキラの紫色のパンプスなど、細かいところまで可愛いです。
ヒギンズ邸の前では、いったいいつからそうしていたのか、フレディがイライザを待っていました。ビックリするイライザに無邪気に駆け寄るフレディ。子犬っぽい。いいよいいよ、フレディにしちゃいなよ、もう…なんて思ってしまいます(笑)。
「笑わないで、ミス・ドゥ―リトル。僕の気持ちは知っているでしょう?。一日に二通も三通も手紙を書いたんだから。何度も、何度も」「言葉にこの気持ち、託し届けたいのさ」と歌うフレディに「言葉言葉言葉!もういらない!」とうんざり答えるイライザ。
愛しているなら
私に見せて
永遠の誓いなど
聞きたくないの
言葉なんて使わず
私に見せて
熱く胸をたぎらせるなら
うっとりさせてよ
すべて忘れ夢中になりたい
言葉は邪魔なだけ
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』~♪「私にみせて」
最後の「そうでしょ」の高音ファルセット、よく響いていてとても綺麗です。まぁ様の努力の成果に涙…(´;ω;`)
「私にみせて」と言われて、フレディがガッとイライザにキスしようとするので、結構ドキドキしちゃう場面。ま、まぁ様イライザちゃんにすごい男前に払いのけられちゃうけれど。
イライザが持っていた衣装ケースに盛大に引っかかってよろけるところも毎回絶妙なよろけ具合。フレディがあんな風に衣装ケースを胸に抱えているのを見ていると、真風のゆりかちゃんを思い出してしまいます♡(スタン)。
自分の居場所はもうここにはない
かつての仲間たちが集うコベント・ガーデンに帰ってきたイライザ。親し気に微笑み掛けても、美しい貴婦人に変身したイライザに誰も気が付きません。わかりやすく顔を背け、自分からこそこそ離れていく仲間たちに悲しそうな顔をするイライザちゃんが切ない。
花売り娘だったイライザを囲んで一緒にふざけて踊っていた仲間たちは、イライザを遠巻きに眺めて一人、また一人とその場を去っていきます。一人ポツンと残されたイライザ。「だったらいいな」を歌う声が切なくて胸が締め付けられます。道端に落ちていたスミレの花を拾い上げてギュッと抱きしめて俯く姿にも(涙)。
パパなりの娘への愛
その後偶然にイライザは父親のアルフレッドと再会しますが、貧乏な掃除夫だった父は相変わらず酔っぱらっているものの、見慣れないタキシードとハットを身に纏っていました。
ヒギンズが思い付きで送った投資家への手紙のせいで、その投資家に気に入られたアルフレッドは彼の遺産相続人になってしまい、年間4000ポンドの遺産が入る大富豪になっていたのです。さらには再婚する予定で、この後教会で結婚式を挙げるとの事。
イライザがまだ何も言わないうちから「イライザの事は引き取れない。自分一人でやっていくんだ」と、彼女を突っぱねます。あれだけ娘に金をせびっておいて酷いお父さんだなぁ…。
それでもやはり娘のことは気になるのか「式に来るのなら歓迎する」というアルフレッド。イライザの「やめとくわ」という言葉にほんの少し寂しそうなお顔を見せます。「元気でね」と、フレディと共に去っていくイライザを見送る、イライザパパの姿が切ない…。どうしようもないお父さんだけれど、彼も彼なりにイライザを愛しているんだなぁと思わされます。ヒギンズと同じく、こういう風にしか接することが出来ないのですね。
この後の「教会へは遅れずに」は、しんみりした空気をガラッと変える楽しい大ナンバーです。イライザパパの曲は一幕の「運がよけりゃ」と二曲ありますが、どちらも客席が一体となってとても盛り上がりました。
その⑤に続きます。
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